なんとなくテレビを見ているとマグロ漁師やらホタテの養殖やら稼げる漁師の存在がフューチャーされています。

確か今年はマグロ漁師が地元で釣れなくて遠出したらかなり釣れた的なやつをみましたね。
マグロ一本百万超え!みたいな感じですごく夢がある用に見えました。

ホタテの養殖もマグロよりか絵が地味なせいかテレビで取り上げられることはすくないですが、そこの漁師の人たちはとんでもなく稼いでいて年収3000万円ぐらいのケースもあるそうな・・・。ほんと夢ありますよね。
 
 
都市に住んでいる人たちというのは、日常生活において第一次産業の人と触れ合うことはまずありません。
港町出身とか出ない限り、漁師というものを生で見たことがないという人もいるのではないでしょうか?
 
そんな人達がテレビのニュースだけを見ていると漁師という職業は稼げる!というように思ってしまうかもしれません。でも実際はそんな稼げる漁師ばかりではないんです。
 
 
実は僕は、漁師がたくさんいる港町で生まれ育ち、今も暮らしていますので漁師という存在が実際稼げるかどうか多少なりとも知っています。
 
メディアというのはある一側面しかピックアップしません。
そのため、物事の平均ではなく高いところ、もしくは低いところしか世の中に知られないわけです。
 



 

 

テレビで話題にならない漁師のリアル

日本には2016年の時点で約約16万人いるといわれています。
そしてこの数というのはどんどん減少しているそうです。

漁師と一言に言ってもどういった魚種を撮っているのかや、漁の方法、漁をしている立地などかなりの差があります。

私が知っているのは、観光地といわれる地域と融合している港町です。
つまり漁師が釣った魚が直接観光のアピールポイントとして使われています。漁師がいなければ観光地の食事はとても寂しいものになるでしょう。
 
 

観光地で食べれる美味しい魚、それを取る漁師の収入

まず、観光地といえどもその大きさは場所によります。
京都などのような大きな観光地なのならば魚の消費量もかなりのものでしょうし、その分魚の値段なども上がっていきます。

ですが、田舎の観光地ともなると消費される魚の量というのはとても限られたものになるので、すぐに値段が下がってきてしまいます。

観光地でお客さんに提供するわけですから当然ある程度手頃な値段で提供する必要があります。
そのためどの魚もだいたい平均1200円/1kgぐらいの価格が付きます。

1200円、それでも50kg釣ってくれば6万円となります。
一回の漁で6万円と考えたら、かなり稼げそうに思いますが、当然そんな甘いものではありません。
 

問題点1、値段がすぐに下がる

先程も書いたとおり、大都市に魚を下ろすわけでもなく観光地内で魚を使おうとする場合、観光地の大きさによっては一人の人がたくさん釣ってきただけですぐに値崩れしてしまいます。

私が住んでいるところで一番重宝されている魚は1匹800g〜1.5kgぐらいの魚なのですが、その魚を1200円の高値で売れるのは、需要がある時期に最初に釣ってこれた人ぐらいです。
そしてその価格は一隻の船が50kg近く水揚げすれば900円、800円となります。
 
同じ50kg釣れたとしても、1200円なら6万円でしたが800円になれば4万円。
そしてこの50kgという数字もはっきりいってほとんどないんです。
 
 

問題点2、毎回量がたくさん取れるわけではない

漁というのは自然との勝負です。
農家や養殖とは違い、毎回取れる量に差がかなりあります。
50kgも取れたら多少値段が下がったとしてもある程度の売上を上げることができるでしょうが、50kgも上げられるのは年に何回かある程度。

あとは10kg、20kgといった量しかとれません。
10kgで800円なら、その日の水揚げはたった8000円。当然まるまる儲けではなくそこから道具代や燃料代、漁業協同組合への支払いもあります。
 
ここまで値段が下がると、もう普通のバイトしたほうがいいレベルなんですよね。
10日で8万円。
20日で16万円。
30日で24万円。
 
そして漁師というのは自然と相手にする仕事。
海は人間の手には負えないんです。
 

問題点3、漁に出れないことも多い

いわゆる時化というのは、海が荒れていて漁に一切出ることが出来ません。
一ヶ月に時化がある日が固定されているのならいいのですが、当然そんなサラリーマンのようなものはなく、一ヶ月のうちほとんど量に出れないということもあるんです。

サラリーマンの人からしたらその状況は考えられないでしょう。
時化となれば当然漁師はすることがありませんからまったくの無収入になります。

漁ができるときにたくさん稼げていれば時化で出れない日が続いたとしても乗り越えることができるかもしれませんが、一日の水揚げが8000円なんてレベルの漁師には到底無収入の日々は耐えられません。
 

問題点4、安く魚が入ってくる

漁師としては一匹の魚ができるだけ高く売れたほうがいいわけです。
そうすれば大量に取らなくてすむので仕事も大変ではなくなりますし、数を取らないことによって海の資源を守ることにも繋がります。

でもそうはならないんです。
地元の魚以外の魚が他の地域から地元の値段以下の価格で入ってきます。小売の人たちは利益を最大にするために値段の低い魚を購入するわけです。

そうなると地元の漁師の人は値段を下げるしかありませんよね。
 
 
漁師という職業。
はっきり言って都会でサラリーマンをしている人では考えられない仕事の状況だと思います。
命の危険を感じることだってあります。

そんな漁師の月収入が10万円もいかない。
これが現実です。
 
 

今、田舎で漁師をしている人はなぜ続けられているのか

月10万円ぐらいの収入では当然生活をすることはできません。
それでも続けている漁師はそこそこいます。

彼らが漁師という生活を続けられているのは、年金のおかげです。

駄菓子屋のおばさんが年金でやってるのと一緒なんです。
年金という支えがなければまともに生活をすることも出来ない。

そして年金を貰える年齢は決まっています。
現在漁師になる若者がどんどん減っています。私の地元においても20代の漁師はいません。
だって生活できないんですもん。

漁師が稼げないことに対して、ネットを見ていると漁師を批判する意見を多く見ますが、どの人たちも漁師という仕事のリアルの現場をしらず上から目線の理想論しか語ってないんです。
 
漁に使う道具も、船も燃料もタダじゃないんです。
座ってればできる仕事でもないんです。
相手は人ではなく自然なんです。
 
 
稼げる漁師はたしかにメディアで流れているようにたくさん稼げるでしょう。
でもそういう漁師が全てではありません。

稼げない漁師だってたくさんいるんです。
あなただって観光地にいって美味しい魚をたらふく食べたことがあるのではないですか?

「おいしい〜」という感想で終わったその魚は漁師の人が定収入に苦しみながら撮ってきている魚なんです。

儲かっている漁師はわかりませんが、このままの時間が進めば私の地元の漁師は一人もいなくなるでしょう。
今第一線で活躍している人はだいたいが60代。あとは40代50代しかいません。20代はおろか30代もいないような状況ですので、10年レベルで崩壊するでしょう。

そしてそれは私の地元だけではありません。
日本中に似たような場所はたくさんあるはずです。

きっとこういう稼げないリアルの漁師の現状というのはテレビでは放映されないでしょう。
そして誰にも知られずに衰退していくんです。
 
 
リアルを知らない人たちは「なにか行動を起こせばいいじゃん!」というかもしれません。
でもよく考えてください。60代後半の人たちが頑張ってる現場ですよ?スマートフォンすら満足に使えない人たちばっかりなんです。

なにかをする体力もなく、ただひたすら毎日の生活をやりくりするだけでもうへとへとなんです。
何かをかえようという力ももう残っていません。
 
漁師といえば儲かる!と思われることが多いですが、それは大きな間違いです。
儲からない漁師がいるという現実は知っておいてください。